【第一章:超越者編】プロローグ

人生観

ほぼ全ての人が辿り着く事なく一生を終える。何者にもなれずに・・・

私は蜃気楼の都から帰還した。長い旅路だった。

思えば、若い頃は日本は夢に溢れていた。
誰も他国の事なんか興味なかった。
日本の技術/製品/企業群は最強なので、他国の事なんか確認するだけ時間の無駄って知っていたから。

FF7(*1)は当時の技術を遥かに超越した作品だった。
スクウェア社は化け物のような企業だった。
誰も勝てるはずがない。
全業種を含めて世界一の企業とみんな感じていた。

でも、FF7のプレイ中に違和感を覚える事があった。
どこの町の人のセリフか忘れたが、「自然の秩序を歪めて技術に慢心しているとろくなことにならないぞ」みたいな忠告を言っていた。
私はこのセリフは好きではなかった。
スクウェア社が慢心しているように感じたから。
そしてこの国自体も慢心しているように感じたから。

蜃気楼の都から帰還後、私はこの長い旅路の意味について思考を巡らせていた。
私は陽の当らぬ世界を生きてきた。
誰にも必要とされぬまま。
そして長い旅路の末、蜃気楼の都に到着した。
存在しないと思っていたけど、存在していた。
そして、同時に分かってしまった。
ほぼ全ての人が辿り着く事なく一生を終える事を。

私は表舞台に出なければいけないのかも知れない。
蜃気楼の都に辿り着いた者として。

(*1)ファイナルファンタジーVII。1997年にプレイステーションで発売されたゲームソフト。このソフトにより、ファミコン時代から続くゲーム業界の戦乱の世を平定し、スクウェア社は天下人となった。

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